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駆け出しの翻訳屋といいながら早数年。 学習したことをちょこちょこ書くつもりでしたが、最近は余暇の話が多いような。。。 そもそも、いつまで駆け出しなんだ?!
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この本もなかなか面白かったです。
主人公 千真は国道脇に倒れていた少女を保護するのですが、この少女は亡き恋人と瓜二つ。しぐさまでそっくりな上に名前も同じ「夕海」。ただし年齢は微妙に1年違う。。。これだけでも十分謎なのですが、夕海と二人で宅配の仕事をすることになった千真は、さらに不可解な事件に遭遇します。それは密室殺人。しかも被害者は、亡くなったはずの恩師の奥さんにそっくりな女性。。。

読み進めるうちに、たびたび何か違和感を感じていたのですが、終盤に一気に世界の見え方が変わって、「あ~っ、そうだったのか」となります。
読み始めは、なんかライトミステリーぽいところと、本格推理っぽいところとあり、インタールードにいたっては、「あれ?もしかしてタイムスリップとかSF的秘密組織とか出てくる?」とか思ったのですが(笑)、そんな「ごった煮」感は世界の見え方が変わったとたんに解消しました。

以下、ネタばらしになるので、[つづきはこちら] で。



最初の違和感は「マスク」ですかね。
2020年に始まったコロナのパンデミックについては冒頭で書かれていましたが、時は2021年、「マスク必須!」も少しはおさまった頃ではないかと思うのに、少女を保護したとき、勝手にはずしたマスクをそのまま付けるのもどうかということで、予備のマスクを渡す。2021年にそこまでしたかなって、ちょっと思いました(マスクは基本的に付け続けていたけど、片時もマスクなしはあり得ないみたいな描写がね)。
しかし、後で明かされるようにこの世界ではパンデミックの後に富士山の噴火(それに伴う地震と津波)があったわけで、マスクは灰を防ぐにも必須だったわけですね。

あと、違和感といえば、夕海の身元が不明なのに簡単に原付免許が取れたこと。「どんなコネがあるねん!」と心の中でツッコミを入れながら読んでいましたが、そういう災厄の中での混乱(行政の機能不全というか、そもそも進入制限エリア)ならば納得です。

「宅配はライフライン」という言葉もありましたね。確かに宅配は重要になっているけど、ライフラインは言い過ぎというか「千真くん使命感あり過ぎ」と思っていましたが、これも誇張じゃなくライフラインだったわけです。

恩師の家もそうですね。妻の思い出を封印したくて寝室の入り口を塗り固める、、、その気持ちはわからなくもないですが、寝室内部はどうなっているんだろうと思っていました。寝室全部を埋め尽くすのは無理だろうし、ドア周辺の鴨居の厚みくらいを塗り固めたのかな?(なんかあまり意味ない?)と思っていました。土砂で埋まっていたのなら、これも納得です。

あと恩師の家に来た警察もいい加減でしたよね。そもそも警察が来る前に、千真がさんざん家の中を捜索している場面で、指紋とか付けて後で警察に怒られないか?と思っていましたが、これも同じく災厄の中での警察の機能不全、、、というか、そもそも恩師の家が本来立入禁止となるべき状況だったわけです。

とまぁ、すごく納得したように書いていますが、最初に災厄の状況が明かされたときは、「は? 地震に噴火に津波? いくら小説とはいえ、やりすぎだろ!」と思いました(^^;)。
プロローグで「災厄」は、現実に起きたパンデミックのことを指すようにミスリードされていましたしね。その上に富士山噴火って、どうよ? 唐突過ぎるやろ。(^^;)

ただ、冷静に考えると、災厄って唐突にやってくるものですよね。
唐突にやってきて、いきなり世界が変わる。
この小説のように、いきなり世界の様相が変わって、1年前は平和な学生生活を送っていたのに、突然、灰に埋もれた世界に住むことになる、てことも実際にありうる話。
そんな「世界が変わる」という経験を読者にさせたかったのかなぁ。。。。なんて。


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技術屋から翻訳屋に転身しようと、退職。
とりあえず、安定して翻訳の仕事を貰えるようになりましたが、まだまだ駆け出しです。胸をはって「翻訳家です」と言えるまで、日夜修行中(?)の身です。
趣味は音楽鑑賞と城めぐり。月平均 1 回以上のライブと登城がエネルギー源です!
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