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駆け出しの翻訳屋といいながら早数年。 学習したことをちょこちょこ書くつもりでしたが、最近は余暇の話が多いような。。。 そもそも、いつまで駆け出しなんだ?!
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なぜ、今「青い鳥」?...という話から書かねばなりません。^^;

子どもの頃(たぶん小学校3年生くらいのとき)、「青い鳥」の話が大好きで、子ども向けの文庫本で何度も読み返していました。中でも好きだったのが、これから生まれてくる子どもたちの世界の話です。わざわざ栞をはさんで、そこだけ読み返したくらいです。たしか青い世界で、子どもたちはみな、何かを持って生まれてくるのです。僕は○○を発明する、私は○○を発見する、と子どもたちが言うのですが、特に印象に残ったのは、「病気を持っていく」という子どもがいたことでした。ほかの子どもたちが明るい未来を持って行くのに対し、「病気を持っていく」というのも有りなんだ!というのがとても印象的だったのです。

その後、大人になってから(大学生だったか、高校生だったかもしれません)、この話を思い出しました。そして、あの「病気を持っていく」という話は何だったんだろう、と気になりました。その頃には、子ども向けの文庫本は処分されていたので、新潮文庫か何かの「青い鳥」を買って読み直しました。
...ですが、読み返した感想は、「ん?」でした。^^;
「病気を持っていく」という子どもは出てくるのですが、記憶にあるのと何かが違う。。大した意味を持たせているわけではなく、さらっと過ぎていく感じなのです。
釈然としないまま、「子ども向けの本で読んだから、ちょっと中身が違うのかな」などと考えて、そのまま放置しました。

それから○十年が経ち、先日なぜか突然、この話を思い出しました。
それで、もう一回読もうという気になったのです。

前回の経験があるので、子どものときに読んだのと同じ本を読もうと思いました。
たしか岩波の子ども向けの文庫本、と思って調べてみたところ、どうやら岩波少年文庫のようです。装丁は変わっていますが、今も「青い鳥」があります。
しかし、ここで、岩波少年文庫の中に「新訳」と書かれているものがあることに気づきました。そうです!もう何十年も経っているので、当然、装丁だけでなく訳者も変わっているものがあるのです。同じ本を読みたいという思いがあるので、装丁はともかく、訳者は同じであってほしい、と思いました。

現在発行されている「青い鳥」の訳者は末松氷海子氏です。
Wikipedia で調べたところ、末松氷海子訳の「青い鳥」は1979年に集英社から発刊され、その後、岩波少年文庫に収録されたようです。岩波少年文庫になったのが1979年としても、年代的にたぶん私が読んだものではありません。^^;

うーむ、当時の訳者をどう調べたらいいだろうと思っていたところ、「岩波少年文庫の装丁の歴史」という記事(子どもの本とおもちゃ:有限会社 百町森さんのサイト)を見つけました。ここでは岩波少年文庫を第1期~第6期と称して整理していますが、私の読んだ本は間違いなく第3期です!一冊ずつ箱に入っていて、タイトルごとに表紙と背表紙の色が異なり、本棚に並べたときの色の配置がとてもきれいだったことを覚えています。

そこで、岩波少年文庫第3期の「青い鳥」を探しました。ネットで中古本を探したところ、「青い鳥 岩波少年文庫 19」というのがありました。発行が1973年!ぎりぎり第3期だし、たぶんこれで間違いなし!というわけで、これを購入しました。訳者は若月紫蘭です。
改めて読み返してみると、単なるファンタジー小説ではありませんね。人間は動物や植物にひどい仕打ちをしているのではないか、幸せというものを勘違いしているのではないか、本当の喜びはもっといろいろなところにあるのではないか、などなど、考えさせられる部分があります。

さて、問題の「これから生まれてくる子どもたちの世界」は、「未来の国」という章でした(戯曲なので正確には第五幕)。
読んでいくと、「そうそう、そういう話だった」と思うのですが、、、あれ?「そういう話」というのは、子どもの頃に読んだ記憶か、大人になってから読んだ記憶か、そもそも元の疑問が曖昧になってしまいました(おいおい!^^;)

「病気を三つもっていくんだ」という子どもがいて、チルチルが「それからなにするの?」と聞くと、子どもは「それから?・・・死んでしまうのさ」と答え、「それじゃ生まれたってつまんないな」というチルチルに対し、子どもは「そうきまっているんだもの、しかたないさ」と答えるのです。なんとも虚しく話は終わってしまいます。

うーん、何だったんだろう。。。
しばらく頭を整理してみたところ、、、子どもの頃の私は、「病気を持っていく」というのを、「新しい病気を持っていく」と思っていたようです。「しょうこう熱と、百日ぜきと、はしかと・・・」って、ちゃんと書いてあるのですが、なぜか新しい病気を持っていくと思っていました。ほかの子どもたちが発明とか発見とか、新しいことを持って行くので、新しい病気だと思ったのでしょうか(はしか等が発見されるより前の時代の話と思っていたとか)。
なので、「新しい病気を持っていく」という役目の子どもがいることに何か意味を感じて記憶に残ったように思います。
大人になって読み返したとき、「あれ? 新しい病気じゃなかった」ということに、まず違和感を覚え、さらに「病気を持っていくこと」が単に「しかたのないこと」として描かれていることに落胆した、ということのようです。
子どもの頃の記憶が長年の間に変形してしまい、勝手に意味を持たせていただけかもしれません。。。

というわけで、なんとも竜頭蛇尾な結論でしたが、改めて「青い鳥」を読む機会となったのは良かったと思います。児童文学を侮るなかれ、ですね。堀口大学訳も読んでみたくなりました。

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技術屋から翻訳屋に転身しようと、退職。
とりあえず、安定して翻訳の仕事を貰えるようになりましたが、まだまだ駆け出しです。胸をはって「翻訳家です」と言えるまで、日夜修行中(?)の身です。
趣味は音楽鑑賞と城めぐり。月平均 1 回以上のライブと登城がエネルギー源です!
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